【ローマ教皇】コロナ禍で最初に訪問を決めていたイラクへ降り立つ

2021年3月5日、カトリック教会の指導者のローマ教皇が、4日間の歴史的なイラク訪問を行いました。政府関係者や宗教指導者、さらに様々な信仰を持つ一般のイラク人達と会談しました。

イラク中南部のナジャフでは、シーア派指導者「アリ・アル・シスターニ師」との階段も行いました。このアリ・アル・シスターニ師との会談では、イラクの歴史や世界の宗教間の歴史において、非常に重要なこととなったはずです。
さらに、古代都市のウル、イラクのクルディスタン地域の首都エルビル、そしてモスルを訪問し、ISILによって破壊と略奪による悲劇を生んだ4つの教会の跡地で祈りを捧げています。
今回のローマ教皇によるイラク訪問は、減少するイラク内のキリスト教信者に精神的な支援を与え、イラクの指導者たちが、国内に存在する多くのキリスト教信者の保護に力を入れるよう促されたようです。

過去100年以上に渡るイラクの国家形成過程に関連する不安定さ、そして外国からの執拗な干渉に大きく関係しています。
そこでローマ教皇はイスラム教徒とキリスト教徒の対話を実現するため、過去に歴史的な中東訪問を何度か行ってきています。
2014年にはヨルダンとパレスチナを訪問し、その3年後にはエジプトにてイスラム教の最高峰シェイク・ムライェ・アーメド氏と会談しています。そして2019年には、UAEとモロッコにも訪問しています。

今回のローマ教皇のイラク訪問は、過去の中東訪問の中でも最も重要なもので、初めての訪問となりました。コロナ禍で最初に訪問を決めていた国がイラクであり、バグダッドでロケット攻撃や致命的な爆弾テロが相次いだにも関わらず、イラク訪問を実現させました。

その大きな目的の一つが、2003年以来イラク人に少数民族の保護を呼びかけてきたアリ・アル・シスターニ師との階段です。
会談後には「キリスト教徒が憲法上の権利をすべて保持しつつ、平和と安全の中で他のイラク人と同様に生活するべきである」と声明を発表しています。ローマ教皇のイラク訪問は、キリスト教徒をはじめとする少数民族の現状を改善するための歴史的な出来事であったことに間違いはありません。

イラクではアメリカによる侵攻やISILによる暴挙など、過去に様々な悲劇を生んでいます。そのような状況の中、イラクの復興と生活の再建を実現するためには、宗教間の対話だけでは正直なところ不十分です。
しかし、今回のローマ教皇のイラク訪問は、イラクのの状況を改善するための非常に重要な意味を持っていたことに代わりはありません。

最終的にイラクの運命を決めるのは、イラクの政治家が外国やその他テロリズムからの圧力にしっかりと対応し、機能的で安定した国家を構築することだと思います。一部の政治家の富を独り占めするのではなく、国民全員に分配し、安全と安心を確保できるかどうかが今後のイラクに重要となってきます。